財産分与の対象になる財産

退職金や退職年金も財産分与の対象に

基本的には、夫婦が婚姻中に築いた財産すべてです。
従って親などから相続した財産や、結婚前から一方がもっていた財産は含まれません。

また、例えば夫が医師や弁護士、会計士といった収入の多い職業に就いていたとします。若い頃は、資格試験の受験勉強中や学生だった夫を、妻が働いて支えていたりしたら、離婚に際して、その分が加味されます。
男性芸能人が下積みの頃、養ってもらった妻を捨ててほかの女性に走る、といった事が時々ありますが、その場合に報道中に「慰謝料」と書かれている額には、こうした財産分与が入っているでしょう。

長年連れ添った夫婦の場合で、あと数年で夫が退職金や退職年金を受け取る予定になっており、その額がだいたい算定できるようなケースでは、妻はこの分も含めて、財産分与を受ける権利が認められることもあります。

これまで挙げたような、一般的な分与の対象となる財産がなくても、一方が離婚で経済的に困る事が予想される場合、「扶養的財産分与」というものもあります。

 

扶養的財産分与とは

扶養的財産分与 財産の一部から生活費に

夫と自分には財産らしい財産もないし、夫はさほど高収入でもない。自分は専業主婦歴が長くすぐには仕事に就けそうもない。
そんな場合には「扶養的財産分与」というものが認められることがあります。これは、離婚によって一方が他方に比べて経済的にかなり不安定な立場に立つ場合、夫が相続したりして持っている財産の一部や離婚後の夫の収入から、生活費の一部を受け取るいことができるものです。

妻が今まで職業に就けなかったのは、夫の収入や仕事を支えるために家事に専念していたため、というのがその理由となります。

もちろん、これは一生もらえるものではありません。妻の離婚後の新生活がある程度軌道にのるまでの数年間、それも、あくまでも生活費の一部を、という条件付きです。

自分の離婚後の生活を思い描いて、最初に挙げた条件にあてはまりそう、と思ったら、この条件が受け入れられるまでは、離婚の判を押さずに粘ってみてはいかがでしょう。

 

財産分与の注意点

どれだけ受け取れるか
妻が専業主婦でも「夫婦は対等、財産は二分の一」と言いたいのは山々ですが、実際には妻が専業主婦なら、分与されるのは約30%前後という例が多いようです。共働きの場合は、多少の所得の差があっても、二分の一ずつ権利があるとされます。
一方的に財産を処分されないために
離婚を前提として争っている間に「あいつに渡すぐらいなら、使ってやれ!」とj勝手に一方が財産を処分してしまう事があります。そんな恐れを感じたら弁護士に相談して、「処分禁止の仮処分」あるいは「仮差し押さえ」という手続きをしておきましょう。

この手続きをしておくと、勝手に家や車を売られてしまったりする心配もなくなります。
「約束が違う」という事態を避けるには
とにかくこうした条件は、離婚届を書く前にきちっと決めて、公正証書にしておくことです。
離婚後でも、家庭裁判所に財産分与についての調停、審判の申し立ては出来ますが、二年たつと時効になって、請求権がなくなるので注意してください。
 
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